

寺部さんは慎重な人だ。
すでに一昨年(2004年)からタイを8回も旅行している。それに加えて、今回4月、JTBの下見ツアーで約3週間バンコクに。目的は「今年(2006年)9月から3カ月かけ、手ごろな家賃のアパートを探す基地となるサービスアパートメントを探すため」だという。
サービスアパートメントとは、ホテルとアパートの長所をとり入れた、特有の長期滞在施設。キッチン付きだが、ホテル並みのサービスも受けられるとロングステイヤーに好評だ。
今後10年から15年はバンコクに滞在するつもりという寺部さん。物件探しにも力が入っている。
なぜ、ロングステイを考えるようになったのか?
「おととし体を壊し3カ月入院した際、定年後をどう過ごそうか考えながら、ある作家の本に出会った。『定年したら2,3カ月でも海外に滞在するといい。自分や日本のことも客観的に見ることができるようになる』。これだと思ったんです」
でも、寺部さんは「ビーチでのんびり」とかゴルフにはまったく興味がない。
「タイの映画やお芝居、美術など文化的なものに触れたい。だから滞在も地方ではなくバンコクは絶対。病院など医療レベルが高いことも安心材料ですね。タイ語も去年から習いはじめました」
今年9月からは、バンコク中心部BTSスクムビット線のラチャテウィー駅近くの月約10万円のサービスアパートメントに滞在することに決めた。
「ここを根城に、月6〜8万円の普通のアパートを探す予定です」
中心部からややはずれても、プールや運動ができるジム付きのアパートが見つかるはずという。暑いと冷房の効いた室内にこもり勝ちになって、運動不足になりやすいから、プール・ジムも絶対条件なのだとか。
日本食材を手に入れるにはちょっと不便になるが、「大き目の冷蔵庫を買って、週に1度くらい買いだめすれば大丈夫」。
気候や季節感の違いからくる庶民の日常レベルの文化・感性的な違いにも興味がある。
「向こうでは、『今日は雨が降って“いい天気”だった』っていうんです。雨で涼しくなるから」
70代半ばになったら、日本に帰ってくるつもりだ。
「体力、気力も衰えてくるでしょう。周囲の人に迷惑はかけたくないですから」
1945年生まれ。都内の区役所で福祉関係の仕事を約30年していたが、2006年3月に定年退職。独身。バンコクに引っ越せば「日本でのしがらみともサヨナラできます」。
※記事は、2006年8月現在のもの。
取材者の方の年齢や略歴も当時のものです。
その他タイの体験談
- CASE1:バンコク編1
- CASE2:バンコク編2
